はじめに
ビジネスの場でよく使う「うちあわせ」という言葉。ところが文章にする際、「打合せ」と「打ち合わせ」のどちらを使えばよいのか迷うことはありませんか?
実はこの二つには明確な基準があります。しかも、日常的なビジネス文書と行政関連の文書とではルールが異なるのです。本記事では文化庁が定める「送り仮名の付け方」を軸に、辞書や教育現場、公的書類での扱いを整理し、シーンごとに最適な選び方を紹介します。
結論から言えば、名詞は「打ち合わせ」または「打合せ」、動詞は「打ち合わせる」が基本。これを押さえておけば安心です。
どちらが正しいのか?
最初に結論を示すと、最も一般的で広く使われるのは「打ち合わせ」です。
ただし、公用文や行政文書では「打合せ」も正しく認められています。
つまり「一方だけが正解」ではなく、使う場面に応じて選択が変わるのです。
ビジネスでは「打ち合わせ」が標準
メールや提案資料など一般的なビジネス文書では「打ち合わせ」が推奨されます。
理由は、送り仮名を付けることで読みやすく、誤解が生じにくいためです。
学校教育や辞書でもこの形を基本としているため、社外向けにはこちらを使うのが安全です。
公用文では「打合せ」が使われる
行政や官公庁の書類では「打合せ」が用いられることが多くあります。
これは文化庁が示す基準に従い、「誤解の恐れがなければ送り仮名を省略してよい」とされているためです。
契約書や通知書などで「打合せ会」といった表記を目にすることもあります。
表記 | 用途 | 特徴 |
---|---|---|
打ち合わせ | ビジネス文書、教育現場、社外資料 | 読みやすく、標準的で安心感がある |
打合せ | 公的文書、官公庁関連 | 送り仮名の省略が正式に認められている |
送り仮名ルールの仕組み
「打ち合わせ」と「打合せ」が両方認められているのは、日本語の送り仮名ルールによるものです。文化庁の基準には「本則」と「許容」の二段階があります。
- 本則:原則どおり送り仮名を付ける → 「打ち合わせ」
- 許容:誤読の心配がなければ省略可 → 「打合せ」
このため、両方の表記が「間違いではない」とされています。
教育現場や辞書での扱い
学校教育や辞書では混乱を避けるため、基本的に「打ち合わせ」を採用しています。
辞書では「打ち合わせ」を見出しにし、「打合せとも書く」と補足するのが一般的です。
学習者がまず正しい形を身につけるために「打ち合わせ」を優先しているのです。
文脈ごとの使い分け
名詞の場合(例:会議の打ち合わせ)
- 打ち合わせ … ビジネス文書、顧客資料、提案書など
- 打合せ … 行政関連の書類、公的通知
重要なのは文書内で表記を統一することです。
動詞の場合(例:予定を打ち合わせる)
- 基本形は「打ち合わせる」
- 「打合せる」も理論的には可能ですが、実務ではほとんど使われません。
許容される表記と避けるべき表記
公式に認められているのは 「打ち合わせ」「打合せ」「打ち合せ」 です。
一方、「打合わせ」「うちあわせ」「打ちあわせ」は基準に含まれず、不自然に見えるため使用は避けましょう。
シーンごとの最適解
- 社内メールやチャット … 「打ち合わせ」 → 自然で読みやすい
- 行政文書や官公庁提出物 … 「打合せ」 → 公用文基準に準拠
- 契約書や顧客向け資料 … 「打ち合わせ」 → 丁寧で信頼感を与える
シーン | 推奨表記 | 理由 |
---|---|---|
社内連絡(チャット・メール) | 打ち合わせ | 教育で浸透しており自然 |
行政書類 | 打合せ | 公用文の基準に準拠 |
契約・顧客資料 | 打ち合わせ | 読みやすく丁寧な印象を与える |
避けたいNG表記
「打合わせ」「うちあわせ」「打ちあわせ」などは、公式基準にないためフォーマルな文書には不向きです。
違和感を与える恐れがあるため使用を避けましょう。
他にも迷いやすい送り仮名の例
「申し込み」と「申込み」
- 名詞:原則「申し込み」
- 公用文:省略形「申込み」もあり
- 動詞:「申し込む」が正解
「行う」と「行なう」
- 基本は「行う」
- 「行なう」は「行く」との混同を避けるための許容表記だが、ビジネスでは使わない方が無難
「受け付け」と「受付」
- 行為や動作:受け付け
- 窓口や場所:受付
- 例:「申請書の受け付けを行う」「1階の受付にお越しください」
語句 | 正しい使い方 | ポイント |
---|---|---|
申し込み/申込み | 名詞=申し込み/動詞=申し込む | 公用文では「申込み」も使われる |
行う/行なう | 基本は「行う」 | 「行なう」は避けるのが一般的 |
受け付け/受付 | 動作=受け付け/場所=受付 | 意味に応じて使い分ける |
まとめ
- 社内や顧客向け → 「打ち合わせ」
- 公的文書 → 「打合せ」
- 動詞 → 「打ち合わせる」
最も無難で誰にでも通じるのは「打ち合わせ」です。
迷ったら「打ち合わせ」を選べば、誤解を避け、相手に安心感を与えることができます。